写真の町東川賞—2017年国内作家賞

国内作家賞

第33回写真の町東川賞 国内作家賞

本橋成一 MOTOHASHI Seiichi

東京都在住

受賞理由:写真展「在り処」(IZU PHOTO MUSEUM、2016年)及び一連の作家活動に対して 

1940年東京都東中野生まれ。63年自由学園最高学部卒業。65年東京綜合写真専門学校卒業。
 東京綜合写真専門学校の卒業制作として撮影をはじめ、その後数年にわたり九州や北海道の採炭地に通い炭鉱住宅の日々を撮影した「炭鉱〈ヤマ〉」で、1968年に第5回太陽賞を受賞。チンドン屋、寄席芸人、大衆演劇など、失われつつある大衆文化・芸能を記録した「藝能東西」(1972年–)、東京と東北を結ぶ玄関口として、様々な人が行き交ったターミナル駅としての最後の風景を撮影した「上野駅」(1980年–)、大阪・松原市の新旧屠畜場で働く人々を記録した「屠場 〈とば〉」 (1986年–)など、市井の人々のたくましく豊かな生き様をとらえてきた。
 1991年からはチェルノブイリ原子力発電所の被災地ベラルーシを何度も訪れ、汚染地域で暮らす村民を記録した「無限抱擁」(1995年)で日本写真協会賞年度賞、写真の会賞を受賞。98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同地で映画「ナージャの村」(1997)「アレクセイと泉」(2002)を完成させた。2015年には長野県小谷村の集落で、多様な背景を抱えた人たちが農業を中心とした共同生活を送る「真木共働学舎」を舞台にしたドキュメンタリー映画「アラヤシキの住人たち」を公開。
 主な個展に「ナジェージダ―希望」(東京都写真美術館、2002年)、「在り処」(IZU PHOTO MUSEUM、2016年)など多数開催している。

作家の言葉

1960年代から始めた写真や映像との付き合いも50年以上になり、失われた場所や風景も多くなりました。時代とともに、人びとの営みも変化していますが、ぼくが撮ってきたものはみな奥底でつながっているようでした。人や生きものの豊かな生、それを育む場所。ぼくはそれを「在り処」と呼びました。
 IZU PHOTO MUSEUMでの展覧会「在り処」は、森陽子学芸員とともにぼくのこれまでの写真作品を改めて見つめ直す契機になりました。その結果、ひとつひとつぼくのこれまでの歩みを積み重ねた集大成とも言える展示となりました。ですから、この展覧会が評価され、今回の賞をいただけたことはぼくにとって特別な意味をもつ、とても大きな贈り物なのです。審査員のみなさま、スタッフのみなさま、ありがとうございました。これからも、ぼくの「在り処」を探して歩いていきたいと思います。
                                               本橋成一

  • 炭鉱〈ヤマ〉/鞍手、福岡

    1965年

  • サーカス/関根サーカス 沼津、静岡

    1976年

  • 上野駅/上野駅、東京

    1981年

  • 屠場〈とば〉/松原、大阪

    1986年

  • チェルノブイリ/ドゥヂチ村、ベラルーシ共和国

    1996年

  • アラヤシキ/小谷村、北安曇郡、長野

    2013年

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