写真の町東川賞—2016年国内作家賞

国内作家賞

第32回写真の町東川賞 国内作家賞

広川泰士 Taishi Hirokawa

東京都在住

受賞理由:写真集「BABEL – ORDINARY LANDSCAPES –」(赤々舎、2015年) 及び一連の作家活動に対して

1950年神奈川県逗子市生まれ。1974年に事務所を設立、雑誌や広告写真などで活躍する。
 福島原発事故後に再評価が高まった写真集『STILL CRAZY -Nuclear power plants as seen in Japanese landscapes-』(光琳社、1994年)は、1991年から93年にかけて、日本全国の原子力発電所(当時53基)すべてを、現代日本の風景の一部として撮影したもの。美しい海岸沿いに隠れるように建設されている巨大な人工物は、隠ぺいされてきた一大国家プロジェクトの現実を突きつける。同時期にはじめられ、現在も続く「TIMESCAPES」シリーズは、世界各地の砂漠地帯の巨大な岩山を、昼の光と長時間露光による夜空のイメージを二重写しにしたもの。人知を超えた時の圧倒的な力が写真に刻みつけられている。写真集『BABEL –ORDINARY LANDSCAPES-』(赤々舎、2015年)は、建設中の高速道路やビルの破壊現場、砂利採取のため掘削される山、災害現場などをとらえたもの。欲望に突き動かされ、自然を変容させていく人為と、それには無関心で遠大な時を刻む自然のあり方を対比的にとらえる視点から生みだされる作品群は、優れた文明批評となっている。
 1986年「家族の肖像」にて講談社出版文化賞(写真賞)を受賞。2003年写真集『TIMESCAPES –無限旋律-』(青木書店)及び個展(東京都写真美術館、2002年)にて日本写真協会賞受賞。近年の展覧会に「BABEL ordinary landscapes」 (キヤノンギャラリーS、東京、2015年)、「TIMESCAPES 2016」 (大正大学 ESPACE KUU、東京、2016年)など。2011~15年東京工芸大学芸術学部写真学科教授。

作家の言葉

日々、日常の中でポツ、ポツと気になる風景を写してきました。
 それらの断片が徐々に積み重なり17年程経つうちに、ボヤけた輪郭がだんだんハッキリし、自然と人間の営みのふうけい関係として、明確な塊りとなって見えてきました。今迄の私の作品制作の過程と違い、かなり漠然とした進行でしたが、大きな災害、原子力発電所の事故、後のこの時期にバラバラな断片が繋がり「BABEL」になりました。そして25年前に撮影した「STILL CRAZY」とも深いところで繋がっているような気が最近しています。私の理解を越えた大きな力に動かされ、ここ迄たどり着けたようです。「BABEL」を含む今迄の作品制作が評価され今回の賞をいただけた事に感謝致します。審査員の皆様、スタッフの皆様、有難うございました。受賞をこれからの大きな励みとして、今後益々精進してまいります。最後にいつも支えてくれている私の妻と息子たちに、感謝します。「ありがとうこれからも宜しくね。」

                                               広川泰士

  • 東京都新宿区 2006年8月

    「BABEL - ORDINARY LANDSCAPES -」シリーズより

  • 栃木県岩舟町 2008年11月

    「BABEL - ORDINARY LANDSCAPES -」シリーズより

  • 岩手県釜石市 2011年4月

    「BABEL - ORDINARY LANDSCAPES -」シリーズより

  • 福島県大熊町 2014年8月

    「BABEL - ORDINARY LANDSCAPES -」シリーズより

  • 1993年8月19日

    美浜町 関西電力発電所

    「STILL CRAZY-Nuclear power plants as seen in Japanese landscapes-」シリーズより

  • #48, Jun. 21-22, 2001 Cathedral Valley, Utah, U.S.A

    toward northwest

    「TIMESCAPES –無限旋律–」シリーズより

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