写真の町東川賞—2017年飛彈野数右衛門賞

飛彈野数右衛門賞

第33回写真の町東川賞 飛彈野数右衛門賞

小関与四郎 KOSEKI Yoshiro

千葉県 旭市在住

受賞理由:写真集「九十九里浜」(春風社、2004年)ほか、郷土・千葉に根差した社会事象、風物を長年にわたり撮影し続けてきた活動に対して

1935年千葉県匝瑳郡栄村(現・匝瑳市)生まれ。新制中学を卒業後、自転車店に年季奉公しながら、写真を独学で始める。カメラ雑誌の写真コンテストに応募し、入賞を重ねる。1962年、『カメラ毎日』に漁婦を写した「暖をとるオッペシ」を発表、同年間賞受賞。1967年に千葉県横芝町で写真店を開き、経営をしながら写真を撮り続ける。
 1973年、長大な遠浅の海が続く漁港のない九十九里浜で、船の揚げ降ろしや魚の荷揚げの手助けをする「オッペシ」と呼ばれる漁婦や、「フナガタ」と呼ばれる船に乗る漁夫の、海と共にたくましく生きる姿を歳月をかけて撮影した写真集『九十九里浜』(木耳社、1972年)で日本写真協会新人賞受賞。主な写真集に、開港までの反対闘争も含めた成田空港を写した写真集『成田国際空港』(木耳社、1982年)、失われゆく九十九里浜の自然、海の生活を写真と文で活写した『九十九里有情』(東京新聞出版局、1993年)、昭和40年代前半に千葉県の国鉄・佐倉機関区で撮影された、今はなき蒸気機関車の整備にあたる機関士たちを追った写真集『国鉄・蒸気機関区の記録』(アーカイブス出版編集部、2007年)、千葉・和歌山・宮城などで撮影し、岐路にたつ日本の捕鯨文化を見つめる『クジラ解体』(春風社、2011年)、新たに撮影した写真も含め再編した『九十九里浜』(春風社、2004年)など。
 現在に至るまで、生まれ育った郷土と、そこで働き暮らす人々を撮り続け、貴重なドキュメントになるとともに、現代の社会、文化を問いかける作品にもなっている。

作家の言葉

今回の授賞は、私にとってはあまりにも易々としたもので、どうしても眉唾ものの様で信じることが出来なかった。然し何年か前に、審査員のお一人と横芝のスタジオでお会いしたこともある…とも…一向に記憶には残って居ない。
 私の信念は一期一会で対象に向かい、二度と出会う事のないという思いで撮る。それが時を過ぎると大きな記録となる。不器用な田舎写真屋…ふり返ってみると、賞というものは縁がなかった。九十九里浜の生活風土を撮っていると、「オッペシ(浜女)の小関」と呼ばれ、十指に余る一流作家などがいろいろとアドバイスをしてくれ、JPSの会長であった渡辺義雄さんや三木淳さんに入会を頼むと、君はもう自分の立派な名前があるのではないか、と相手にされなかった。今は協会から逆指名を受け、記念バッジなどいただき、81歳の老人写真屋はいろいろの難病と闘いながら今も一枚でも多くと保存につとめている日々なのです。ありがとうございました。
(注)ベレー帽のバッジが私の作品です。
                                              小関与四郎

  • 背中一面に竜の彫り物をした迫力あるフナガタ 

    『九十九里浜』より
    1963年頃

  • 堀川浜(野栄町)暖をとるオッペシたち

    『九十九里浜』より
    1963年頃

  • 栢田浜(野栄町)浜昼顔の群生 

    『九十九里浜』より
    1980年

  • 富里村

    『成田国際空港』より
    1960年頃

  • 『国鉄蒸気機関区の記録』より

    1960年代後半

  • 和田浦港とツチクジラ

    『クジラ解体』より
    2010年

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