写真の町東川賞—2016年特別作家賞

特別作家賞

第32回写真の町東川賞 特別作家賞

マイケル・ケンナ Michael Kenna

アメリカ・シアトル在住

受賞理由:北海道を撮影した一連の写真に対して

1953年イギリス西北部ランカシャー、ウィドネス生まれ。バンベリー・スクール・オブ・アートで美術を、ロンドン・カレッジ・オブ・プリンティングで商業写真を学ぶ。77年よりサンフランシスコに拠点を移し、写真家としての活動をはじめる。
 2002年より北海道での撮影を開始し、「ケンナの木」と呼ばれつつも現在は伐採されてしまった屈斜路湖畔のミズナラの樹をはじめ、各地を毎年のように訪れて撮影を続けている。雄大な自然だけでなく、人間の営為が伺える柵や鉄塔、名もなき樹々など、対象との静かな対話の時間のなかで生み出された作品は、豊かな詩情をたたえている。2006年、写真集『Hokkaido』(Nazraeli Press/出版協同社)を出版。独自の美意識によってとらえられたミニマルな風景と、微妙な陰影に富んだ精緻な銀塩プリントは、水墨画、俳句の精神性を有するものとして、高く評価されている。
 ヨーロッパ、アメリカ、アジア、北アフリカなど、世界各地で複数のテーマを持ちながら継続的に撮影を行い、今までに50冊以上の写真集を出版。日本での主な展覧会に、「In Japan」(東京都写真美術館、2006年)、「風景に刻まれた記憶」(北海道立釧路芸術館ほか、2009年)、「日本の形」(ギャラリー・アートアンリミテッド、2016)など。昨年には、日本で約30年をかけて撮影した作品をまとめた写真集『Forms of Japan』(Prestel Pub、ドイツ、2015)が出版された。

作家の言葉

北海道は、大切な宝物です。大いに興味をそそるかと思えば、静かに魅了し、危険なまでに野性的かと思えば、どうしようもなくロマンチック。果てしなく壮観な被写体を私と共有してくれる北海道に、深く感謝し、大いに恩義を感じています。とりわけ愛すべきは、冬の北海道。何層もの雪と氷で変容したその光景は、荒涼とした全き無垢なカンバス。そこに生き生きと浮かぶ墨絵は、まさに目に見える俳句です。裸木、色の不在、不気味な静けさ――気を逸らすものが減ることで、一心に集中することが求められます。これはシリアスでクリエイティブな写真を生み出すには、申し分ないレシピ。これに熱い温泉、冷や酒、新鮮なホッケと賑やかなカラオケバーが加わって渾然一体となれば、もはや抗いがたい魅力です。北海道の写真に対して、第32回写真の町東川賞特別作家賞をいただき、言葉にならない感謝と誇りを感じます。過去14年以上にわたり、北海道は私の信頼できる友であり、誠実な仲間です。友との共同作業がこのような形で認められ、大変嬉しく思います。最愛の北海道をはじめ、関係者の皆様、ドウモ、アリガトウ、ゴザイマス。

                                           マイケル・ケンナ        

  • Hillside Fence, Study 6

    Teshikaga, Hokkaido, Japan. 2007
    (北海道 弟子屈)

  • Kussharo Lake Tree, Study 1

    Kotan, Hokkaido, Japan. 2002
    (北海道 屈斜路湖)

  • Philosopher's Tree, Study 3

    Biei, Hokkaido, Japan. 2009
    (北海道 美瑛)

  • Taushubetsu Bridge

    Nukabira, Hokkaido, Japan. 2008
    (北海道 糠平)

  • Torii Gate, Study 2

    Shosanbetsu, Hokkaido, Japan. 2014
    (北海道 初山別)

  • Winter Seascape

    Wakkanai, Hokkaido, Japan. 2004
    (北海道 稚内)

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