写真の町東川賞—2017年特別作家賞

特別作家賞

第33回写真の町東川賞 特別作家賞

岡田敦 OKADA Atsushi

北海道稚内市生まれ、東京都在住

受賞理由:シリーズ「ユルリ島の野生馬」及び写真集「1999」(ナガトモ、2015年)に対して

1979年北海道稚内市生まれ、札幌市出身。2003年大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業、2008年東京工芸大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了。
 2003年、「生きること」に焦点をあてた写真集『Platibe』、『Cord』(窓社、2003年)を刊行。2007年、自分の存在を確かめようとする日本全国の若者約50人を撮影した『I am』(赤々舎、2007年)で第33回木村伊兵衛写真賞を受賞。世界に潜む崇高な美しさを写真にとらえようとした『ataraxia』(青幻舎、2010年)、『世界』(赤々舎、2012年)、命の誕生の時間を赤裸々に撮りおさめた『MOTHER』(柏艪舎、2014年)など、精力的に作品を発表している。
 『1999』(ナガトモ、2015年)は、写真学生だった1999年に原風景ともいえる故郷の北海道で撮影した写真をもとに、現在の感性と最新のデジタル技術を融合させて作った写真集。2011年からは、北海道根室市からの委託により、根室半島沖に浮かぶユルリ島(無人島)に生息する野生馬の撮影を続けている。かつて「馬の楽園」といわれたユルリ島には、1950年頃に昆布漁の労力として馬が持ち込まれた。1971年に最後の漁師が島を去り、無人島となったいまでもその子孫が生きている。現在では数頭を数えるのみとなった消えゆく運命の馬たちを、北海道の大切な文化や歴史の証として記録に残す試みを続けている。2014年北海道文化奨励賞受賞。

作家の言葉

北海道根室半島沖にあるユルリ島の撮影を2011年から続けてきた。島にはかつて昆布漁の労力として持ち込まれた馬の子孫が、無人島となったいまでも生きている。多い時には約30頭の馬が生息し、給餌を受けず、交配や出産は自然にまかされてきた。しかし2006年、間引きをしていた漁師たちの高齢化もあり、牡馬が島から引き上げられた。島には14頭の牝馬だけが残り、馬はやがて消えゆく運命となった。2011年に12頭いた馬は、2017年3月には4頭にまで減った。根室半島沖に浮かぶ小さな楽園で生きる馬の姿を見ながら、わたしは北海道の歴史と文化、生命の在りようを考えてきた。
 島は北海道の天然記念物や国の鳥獣保護区に指定されているため、人の立入りが禁止されている。一人では辿り着くことのできなかった島。わたしの活動を支援してくださった根室市、根室市教育委員会、落石漁業協同組合をはじめ、根室の多くの方のご理解とご協力に感謝申し上げたい。そして、たくさんの美しい光景を見せてくれたユルリ島と、そこで生きてきた馬たちに、この賞を捧げたい。

                                                岡田敦        

  • 「ユルリ島の野生馬」シリーズより

    2011年-

  • 「ユルリ島の野生馬」シリーズより

    2011年-

  • 「ユルリ島の野生馬」シリーズより

    2011年-

  • 「ユルリ島の野生馬」シリーズより

    2011年-

  • 「ユルリ島の野生馬」シリーズより

    2011年-

  • 「ユルリ島の野生馬」シリーズより

    2011年-

  • 「1999」シリーズより

  • 「1999」シリーズより

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