ABOUTフォトフェスティバル概要

写真の町

1984年、東川町に開墾の鍬がおろされてから満90年のとき。10年後に迎える100年に向け、後世に引き継いでいく町の未来をどのように思い描くかを考えました。

東川は大雪山国立公園の大自然に恵まれた町であり、多くの写真の被写体となってきました。この美しい環境を後世のために守り育てながら、人々がいきいきと暮らす町であり、住民でありたい。

そして、このまだ若い町よりも、わずか半世紀ほどはやく生まれた若い文化である写真。若い町が若い文化に取り組むことで、どこにもない独自の文化や新しい伝統を育てることができる。そうすることでこの町が日本や世界での役割を担い、心豊かな暮らしを育んでいくことにつながると考えました。

1985年6月1日、東川町は豊かな文化田園都市づくりをめざして、とてもユニークな「写真の町宣言」を行いました。写真文化によって町づくりや生活づくり、そして人づくりをしようという、世界でも類例のない試みです。出会いを永遠に記録する写真による、町の美を永遠にとどめるための活動は、今もさらに展開し続けています。

この「写真の町宣言」にうたわれた、写真によって出会いにみちた町にしようという理念を実現し、「写真の町」の一年間の集大成と翌年への新しい出発のための祭典として、1985年から毎年夏に「東川町国際写真フェスティバル(愛称:東川町フォトフェスタ)」が開催されています。

東川町フォトフェスタは、全体の会期を約1カ月とし、7月末に設定されたメイン会期には、写真の町東川賞授賞式を中心に、受賞作家作品展やシンポジウム、写真家たちと出会う各種パーティ、新人写真家の登龍門ともいえる写真インディペンデンス展、写真愛好家・大学生によるストリートフォトギャラリー、写真と音楽のコラボレーションなど、写真が異分野の文化と出会うイベントも多数行われます。

また、メイン会期の前後には、各種写真展や写真ワークショップ、写真による自然観察講座、町民や初心者を対象とした写真教室、町民写真展など、会期全体を通じて、芸術としての写真から大衆的な写真とのかかわりまで、訪れる人々や町民に幅広いプログラムで写真文化の魅力を伝えています。

さらに、1994年からはじめられた、全国の高校の写真部やサークルを対象にして行われる写真大会「写真甲子園」では、地元のサポーターの応援のもと、全国から集った高校生たちが北海道を舞台に写真を撮影し、熱戦を繰り広げます。

そして、2014年3月6日、30年に亘る「写真文化の積み重ね」、そして地域の力を踏まえ、私たちは未来に向かって均衡ある適疎な町づくりを目指し「写真文化首都宣言」を行いました。「写す、残す、伝える」心を大切に写真文化の中心地として、写真文化と世界の人々を繋ぐ役割を果たしていきます。