AWARDS東川賞

国内作家賞

瀬戸正人
SETO Masato
東京都在住

受賞理由

受賞理由:展覧会「記憶の地図」(東京都写真美術館、2020年)に対して

1953年 タイ、ウドンタニ市生まれ。’61年 父親の故郷である福島県に移住。’74年 東京写真専門学校(現在の東京ビジュアルアーツ)在学中に森山大道と出会い、写真作家を志す。その後、18年間、深瀬昌久のアシスタントを務め、’81年に独立。’87年に自主ギャラリー「Place M」を開設。

’88年、生まれ故郷のタイ・バンコクと母の親族の住むベトナム・ハノイを約20年ぶりに訪れて撮影する。街と人々を描くドキュメンタリーでありながら、作家自身のルーツをたどるパーソナル・ヒストリーでもある写真集『バンコク・ハノイ』(アイピーシー、’89年)を上梓。日本写真協会新人賞を受賞。’93年にはアジア諸国や中近東など様々な地域から東京に移り住み、一般的な集合住宅で暮らす人々の居住空間から国際色豊かな東京の一面をとらえた写真展「部屋 Living Room, Tokyo」(Place M、’92-’94年)で、東川賞新人作家賞を受賞。’96年には写真集『部屋 Living Room, Tokyo』(新潮社、’96年)、コンパクトカメラのサイレントモードで電車に乗る女性を至近距離で撮影し、無表情の中にその人のリアルな姿を浮かび上がらせたポートレート写真集『Silent Mode』(Mole、’96年)で、第21回木村伊兵衛写真賞、写真の会賞を同時受賞。’99年には幼少期の記憶を綴りアジアの多様で複雑な歴史を映し出しつつも、自身のルーツを探す旅の記録ともいえるエッセイ集『トオイと正人』(朝日新聞社、’98年)で、第12回新潮学芸賞を受賞するなど、多彩な才能を発揮。

個展「記憶の地図」(東京都写真美術館、’20年)では、デビュー作「バンコク、ハノイ1982-1987」から、最新作「Silent Mode 2020」にいたる各時代の代表作を一望できるような形で構成。半世紀以上にわたりアジア各地の人々や暮らし、風土や自然、また社会を見つめた作品制作を続けている。

作家の言葉

東川町が、写真の町として旗を高々と揚げた1984年、写真家として立ち上がろうとしていた僕にとって、目指さなければならない場所となりました。それから40年近い時を経て、ここに「国内作家賞」を受けて、たいへん光栄に思います。

はじめて東川町を訪れたのは1992年で、僕の先生である深瀬昌久氏が「特別賞」を受賞されたのですが、授賞式の直前に不慮の事故で倒れられたため、僕が代理で出席させていただきました。それから何年かして、今度は僕が「新人賞」を受賞し再訪しました。夏の盛りの東川町の田畑が青々として、民家の庭先に白百合が揺れ、その忘れがたい夏の匂いがそこここに漂っていました。大雪山からの雪解け水とのこと、水道水が冷たくとても美味しいのに驚きました。

その時のあいさつで「2度あることは3度ある、また来るつもりです」と言いましたが、それが今実現しました。再再訪を楽しみにしています。

瀬戸正人

「部屋 Living Room, Tokyo」より
from the series "Living Room, Tokyo"
1989-1994
「Binran」より
from the series "Binran"
2004-2007
「Picnic」より
from the series "Picnic"
1995-2003
「Picnic」より
from the series "Picnic"
1995-2003
「Silent Mode 2020」より
from the series "Silent Mode 2020"
2019-2020
「Silent Mode 2020」より
from the series "Silent Mode 2020"
2019-2020