AWARDS東川賞

飛彈野数右衛門賞

宮崎 学
MIYAZAKI Manabu
長野県在住

受賞理由

展覧会「イマドキの野生動物」(東京都写真美術館、2021年)などにおける、長野県駒ヶ根を拠点とした一連の作品に対して

1949年長野県生まれ。中学卒業後に働きはじめた企業で、カメラやレンズに触れ、写真の魅力にとりつかれる。17歳で「アサヒカメラ」のコンテストに初めて応募し、初入選。以来、応募を繰り返し、独学で写真を学ぶ。

‘72年、平凡社の雑誌「アニマ」の創刊準備で訪ねてきた編集者に認められ、23歳にして専属契約をする。以後、日本に生息する鷲と鷹、全16種類を撮影することを目標に、北海道から沖縄までを旅し、15年の歳月をかけ完遂。この過程で沖縄八重山諸島に生息するカンムリワシの営巣を初めて発見。これらを写真集『鷲と鷹』(平凡社、’81年)にまとめ、’82年に日本写真協会賞新人賞を受賞。また、この頃、赤外線センサー付のロボットカメラを独自開発し、野生動物の知られざる世界を撮影した写真集『けもの道』(共立出版、’79年)を発表。さらに、撮影が最も難しいと言われる夜行性のフクロウの撮影に挑戦。姿を現さない野生のフクロウの生活パターンを調べ、行動を先読みするべくロボットカメラをアップデート。10年がかりで撮影に成功し、写真集『フクロウ』(平凡社、’89年/『The Owl』Chronicle Books, USA、’90年)を出版。’90年には自然をテーマとする写真家として初めて第9回土門拳賞を受賞。その後、死を語ることを避ける現代社会に疑問を感じ、あらゆる生命には誕生の数だけ死の数もあると、死体が土に還るまでを描いた仏教絵画「九相図」をモデルに野生動物の死を表現した写真集『死』(平凡社、’94年)を出版し、’95年に日本写真協会賞年度賞を受賞。さらに、野生動物たちからの視線で人間社会を逆照射しようと’94年より『FRIDAY』(講談社)で連載を開始。それらをまとめた『アニマル黙示録』(講談社、’95年)で’95年に講談社出版文化賞「写真賞」を受賞。

これまで、写真集をはじめ単行本など70冊以上を出版。展覧会は、ニコンサロンをはじめ、IZU PHOTO MUSEUM(’13年)での個展、カルチェ現代工芸美術館(’16年)でのグループ展等多数。’21年、東京都写真美術館では、半世紀近くに渡る“自然界の報道写真家”としての軌跡をまとめた「イマドキの野生動物」を開催。

作家の言葉

東川賞「飛彈野数右衛門賞」の知らせにビックリした。

このような写真の賞があることを正直知らなかったからだ。調べてみたら、地道にコツコツと長年に渡ってテーマを追い続けている人に与えられる賞であることがわかった。

自分は長野県の片田舎に暮らして自然環境と人間をテーマに撮影しているが、あくまでも自然という相手側から人社会と生命というものを目撃しながら作品制作を続けてきた。ある意味自分の興味のあるところだけをじっくり見つめマイペースで作品づくりをしているからである。

今回このような賞が自分に届いたということは、全国の地方で対象物を地道に深く丁寧に追求しているプロ、アマはたくさんいると思うので、みんなに勇気と希望を与えるものとなるにちがいない。古希を迎えた自分だが、この賞を「がんばりま賞」と位置づけ、今後もさらに視点に磨きをかけ残されたテーマに邁進したいと思う。

このような田舎者の自分を探しだしてくださった審査員の皆様に心から感謝申し上げる。

ありがとうございました。

宮崎 学

 

墓地で供物を盗むニホンザル
『イマドキの野生動物』より
2010年
鳥インフルエンザに怯える社会
『イマドキの野生動物』より
2012年
都市夜景脇で隠密行動中のアライグマ
『イマドキの野生動物』より
2013年
ニホンジカを食うツキノワグマ
『イマドキの野生動物』より
2013年
洗剤キャップをマイホームするヤドカリ
『イマドキの野生動物』より
1994年
シカの死を確認するカケス
『イマドキの野生動物』より
1992年