AWARDS東川賞

飛彈野数右衛門賞

鬼海弘雄
KIKAI Hiroh
神奈川県在住

受賞理由

受賞理由:『PERSONA 最終章』(筑摩書房、2019年)、『PERSONA』(草思社、2003年)、『東京夢譚―labyrinthos』(草思社、2007年)、『東京迷路』(小学館、1999年)ほか、東京を撮り続けてきた作品に対して

1945年山形県寒河江市(旧醍醐村)生まれ。1963年山形県職員になる。退職後、法政大学文学部哲学科にて哲学者・福田定良の教えを受ける。トラック運転手、遠洋マグロ漁船乗組員、暗室マンなど様々な職業を経て写真家になる。

写真を通じて人間の存在の根源的なあり方を捉えようと、1973年より浅草寺で人物写真を撮りはじめる。1987年、『王たちの肖像 浅草寺境内』(矢立出版)で日本写真協会新人賞授賞、第13回伊奈信男賞受賞。その後も『や・ちまた 王たちの回廊』(みすず書房、1996年)、『PERSONA』(草思社、2003年、第23回土門拳賞、日本写真協会年度賞受賞)、『Asakusa Portraits』(Steidl、2008年)、『東京ポートレイト』(クレヴィス、2011年) 、『世間のひと』(筑摩書房、2014年)、『PERSONA最終章 2005−2018』(筑摩書房、2019年)など、半世紀近くにわたり浅草の町を舞台とした市井の人たちのポートレイト写真を撮り続け、出版を重ねる。

1973年からの浅草での撮影と並行し、人の内面や価値観などを写し取る肖像写真のように風景写真を撮れないかと、人の姿をあえて写さず、町角や路地のモノだけから人の影や匂いを描写することにフォーカスした「空間のポートレイト」の試みをはじめる。夢と現のあいだを漂い歩きつつ、人が暮らす場としての街の肖像を撮影した写真集として、『東京迷路』(小学館、1999年)、『東京夢譚―labyrinthos』(草思社、2007年)を出版している。

日本での撮影と並行し、1979年にはじめて訪れたインドや、トルコのアナトリアにも旅を重ね、人々の営みや眼差しのなかに、消費至上社会で失われた人間本来の感触を探るような撮影も行う。

反復的に同じ場所に通い、人の営為を見つめるなかで、人間とは何かを問いかけるような写真の発表を続けている。

作家の言葉

本年度の東川賞飛騨野数右衛門を受賞させて頂きありがとうございました。

農村育ちの私にとって、自然を相手の仕事を多くしている町の賞を頂けるのは光栄です。

受賞を機に、もう少し写真の山を登れたらと思っています。

この度はありがとうございました。

銀ヤンマに似た娘
2011
大工の棟梁
1985
カラスと暮す男
1995
義足の老人
1974
品川区北品川
1986
台東区浅草
1985