AWARDS東川賞
新人作家賞

受賞理由
展覧会「Words of Light」(第一生命ギャラリー、2024年)、「The Mirror, the Window, and the Telescope」(ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー、2024年)など近年の活動に対して
1983年埼玉県生まれ。現在も同地を拠点に活動している。2007年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業。2015年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程を修了し、2019年、平成30年度ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスに滞在。2022年に同大学院博士後期課程(先端芸術表現研究領域)を修了。
主な個展に「HIRAKU Project Vol.16 鈴木のぞみ『The Mirror, the Window, and the Telescope』」(ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー、2024年)、「Words of Light」(第一生命ギャラリー、2024年/師岡制作所、2023年)、「アーティスト×横浜市所蔵カメラ・写真コレクション 鈴木のぞみ展」(横浜市民ギャラリーあざみ野、2023年)がある。
また、東京都写真美術館での「無垢と経験の写真 日本の新進作家vol.14」(2017年)、「セレンディピティ 日常のなかの予期せぬ素敵な発見」(2023年)や、アーツ前橋での「潜在景色」(2022年)などのグループ展に参加。
2024年、第27回岡本太郎現代芸術賞に入選。VOCA展2016でVOCA奨励賞、アートアワードトーキョー丸の内2015でフランス大使館賞、TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2015で後藤繁雄賞、群馬青年ビエンナーレ2015でガトーフェスタ ハラダ賞を受賞。
2022年には写真作品集『LIGHT OF OTHER DAYS』(rin art association)を刊行。作品はアーツ前橋、東京都写真美術館、第一生命保険株式会社、ガトーフェスタ ハラダに収蔵されている。
作家の言葉
2014年の写真フェスティバルではじめて東川町を訪れ、たくさんの方と出会いました。いまでもご縁があることを感慨深く感じています。
事物に宿る記憶を可視化したいという思いから、対象に指標的なメディウムである写真に惹かれ、2011年より現在のような制作を模索しはじめました。以来、小穴投影現象や光による投影、光の透過や屈折、反射などの物理的現象により、事物に見出すことができる潜像を「事物の記憶」であると捉え、写真の原理を通した顕在化を試みてきました。
私の日常にある個人的な事物にはじまり、その対象は自ずと近代以降の歴史や集合的記憶と結びついた事物へ繋がっていきました。私は作者というよりも「光の言葉」を伝える媒介者、あるいは翻訳者であれたらと思います。そのような私の制作行為に対し新人作家賞をいただけることは身に余る光栄です。これからも事物の来歴を通してそこにある記憶を思索し、事物に導かれながら制作を続けていきたいです。
鈴木 のぞみ

2020
イギリス製の舷窓、写真乳剤
Photo by KIGURE Shinya

2021
イギリス製の鏡、蝋燭、写真乳剤
Photo by KIGURE Shinya

2024
イギリス製の片眼鏡、写真乳剤
Photo by KATO Ken

2021
解体された家の窓、写真乳剤
Photo by KATO Ken

2024
ゼラチンシルバープリント

2021
リバーサルフィルム