AWARDS東川賞
海外作家賞
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受賞理由
受賞理由: 写真集『Proverbs』(Nazraeli Press, 2014)、「Mixed Reality」シリーズ(2018‐)及び一連の作品に対して
1970年、かつてのロシア帝国の首都であり、現在でも文化の中心地として栄えるレニングラード(現サンクト・ペテルブルク)で、芸術家の家系に生まれる。幼少期から父親にドローイング、絵画、版画を学ぶ。1987-90年、サンクト・ペテルブルク州立アカデミー、 レーピン・インスティテュートのグラフィックアート学部で学ぶ。1991年のソ連崩壊前に家族とともにロサンゼルスに移住。95年には故郷サンクト・ペテルブルクに戻って活動をはじめる。
当初は絵画、グラフィック・アート、ビデオ、写真など、多様な表現のあり方を模索するが、2000年代初頭から写真を主要なメディアとして用いる。最初の写真を用いたプロジェクト「Krylov’s Fables(クルィロフの寓話)」(2000-02年)や「Tarot Decks(タロット・デッキ)」 (2003年)では、寓意的なタイトルと内容によるコラージュや着色を施した作品を発表。現実を写した写真を素材に、油絵とエッチングに通じる技法を組み合わせたようなブロムオイルプリントに出会うことで、より自分の世界を具現化できる表現手段を手に入れる。
代表作に、投票する猿や、レーニンの書を読む熊などを題材とした、風刺的な内容をもつ「Proverbs(格言・ことわざ)」(2005–2015年)や、バレーダンサーとサーカスの熊をとらえた「The Taste for Russian Ballet (ロシアバレー好み)」(2008年)など。2014年、これらのシリーズを収めた作品集『Proverbs』がアメリカのナツラエリ・プレスより出版される。最新作の「Mixed Reality(複合現実)」(2018-)では、現実を直視できない現代社会を生きる人間をユーモアを交えつつも痛烈に批判した作品を発表している。サンクト・ペテルブルクのAslan Chekhoyev Novy Museumにて個展を開催し、写真集『Mixed Reality』(2020年)を出版。国内外での展覧会多数。国際的にも注目を浴びている。
作家の言葉
ロシア人初の東川賞海外作家賞授賞を大変光栄に思います。また、日本に作品を紹介する機会を与えてくださった東川町に感謝いたします。
今回は長年の制作の中でも、ステイジド・フォトの要素も取り入れた構成によるシリーズ「Proverbs(格言・ことわざ)」「Taste for Russian Ballet(ロシアバレー好み)」のなかから、最も注目を浴びてきた作品と、最新プロジェクトの「Mixed Reality(複合現実)」を展示します。登場人物がヘッドセットを身に付けた「Mixed Reality」シリーズは、2018年に開始し、今も継続中のプロジェクトです。東川町を訪れるこのまたとない機会を心待ちにするとともに、この新シリーズの展示が成功することを願っています。
*ロシアでの海外調査の際に多大なるご協力をいただいたIrina Chmyreva氏とAndrey Martynov氏に心から感謝いたします。

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