AWARDS東川賞

海外作家賞

ローズマリー・ラング
Rosemary LAING
オーストラリア・シドニー在住

受賞理由

受賞理由:「weather」(2006)、「leak」(2010)、「Buddens」(2017)シリーズほか一連の作品に対して

1959年オーストラリア、ブリスベンに生まれる。1970年代後半より画家としての修養を積み、1980年代半ばよりミクストメディアの作品に写真を用いはじめる。

1990年代後半から「スピード」「飛行」などをテーマとした作品を制作。代表作の一つである「flight research」(1998-2000)シリーズでは、純白のドレスを着て青空を跳ぶ花嫁を撮影、新世紀のオプティミズムを表現した。「bulletproofglass」(2002)シリーズでは同じ花嫁が銃弾に撃たれて血を流す姿に変容し、「weather」(2006)シリーズでは紙吹雪が舞うなか空中で翻弄される姿になるなど、多様な解釈を誘う作品となっている。

森のなかに花柄のカーペットを敷いたシリーズ「groundspeed」(2001)は、美しく詩的な外観を有する一方で、アボリジニの土地を奪い、オーストラリアの大自然を覆ってきたヨーロッパ人による植民地主義を暗示している。「leak」(2010)シリーズでは、骨組みだけの家が大地に逆さに突き刺さる場景を、オーストラリアの風景画の伝統で描かれてきたような、ロマン主義的な田舎の風景のなかに出現させている。

入念なリサーチに基づき、詩的な想像力をもとにしながら、現代のオーストラリアの文化と、その歴史との関係を問いかけるような大型作品のシリーズを、インスタレーション、パフォーマンス、写真を融合した形で制作、発表を続ける。

日本でも国立国際美術館で「国際交流展 ローズマリー・ラング エアロ・ゾーン」展(1999)を開催するほか、世界各地で展覧会多数。2012年にはアビゲイル・ソロモン=ゴドーが執筆した作品集が出版された。

作家の言葉

東川賞海外作家賞と北海道訪問という格別な機会をいただき、大変光栄に思い、心から審査員の方々に感謝します。さらに、第35回写真の町東川賞を受賞された優れた作家の方々の作品とともに展示できることをとても光栄に思います。

私のプロジェクトは多くの場合、来歴のある場所で創られますが、そこに何かを組み立てたり、パフォーマーと協力したりして、撮影のための状況をセットアップします。今回は「weather」と「leak」シリーズからの展示です。

「weather」では、パフォーマーは、強風と新聞の断片の渦巻くなかに捕らわれています。その様子はまるで、気象現象と日々の出来事を隠喩する力に翻弄されるているかのようです。「leak」では、ニュー・サウス・ウェールズ州クーマ・モナロ地方の羊の放牧場に、逆さにした特大の家の木枠を建てました。入植者の農地の占領を理想化した歴史と、都市化の拡大という今日の圧力の間にある緊張についてのイメージを作りたかったからです。どちらにおいても、空、大地、それにつながる状況の間にある、しなやかな重力に関心を寄せています。

weather #3
from the series "weather"
2006
©Rosemary Laing, Courtesy Tolarno Galleries, Melbourne.
weather #5
from the series "weather"
2006
©Rosemary Laing, Courtesy Tolarno Galleries, Melbourne.
Prowse
from the series "leak"
2010
©Rosemary Laing, Courtesy Tolarno Galleries, Melbourne.
Eudoxia
from the series "leak"
2010
©Rosemary Laing, Courtesy Tolarno Galleries, Melbourne.
Drapery and wattle
from the series "Buddens"
2017
©Rosemary Laing, Courtesy Tolarno Galleries, Melbourne.
Still life with teapot and daisies
from the series "Buddens"
2017
©Rosemary Laing, Courtesy Tolarno Galleries, Melbourne.