AWARDS東川賞

特別作家賞

中西 敏貴
NAKANISHI Toshiki
北海道在住

受賞理由

写真集『オプタテシケ』(Case Publishing、2023年)、『Land of Fusion 地 と記憶』(同前、2024年)、『Where We Come From and Where We Might Go』(同前、2025年)の北海道三部作と同作に関連した一連の写真展に対して

1971年大阪府生まれ。学生時代の旅で出会った北海道の雄大さに強く惹かれ、大阪から通い続けたのち、2012年に美瑛町へ居を移す。数年後、北海道の基層文化への関心が高まり、各地の遺跡を訪ね歩きながら、かつてそこにあった歴史の風景を想像するようになる。近年は、北海道沿岸部やパキスタンなどへの旅を通じ、人の思想が生み出してきた境界線のあり方に問題意識を抱き、自然の中にその答えを求めて活動を続けている。

こうしたリサーチとフィールドワークを経て、『オプタテシケ』(Case Publishing、2023年)、『Land of Fusion 地と記憶』(Case Publishing、2024年)、『Where We Come From and Where We Might Go』(Case Publishing、2025年)の「北海道三部作」を上梓。2025年にはオホーツク文化を題材とした『Land of Fusion 地と記憶』により、さがみはら写真新人奨励賞を受賞。

主な個展に「Kamuy」(キヤノンギャラリーS、東川町文化ギャラリー、2020–2021年)、「地と記憶」(IG PHOTO GALLERY、PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA、モエレ沼公園ガラスのピラミッド、2023-2024年)、「オプタテシケ」(キヤノンギャラリー銀座、2024年)、「The New Land」(入江泰吉記念奈良市写真美術館、東川町文化ギャラリー、2024–2025年)、「Where We Come From and Where We Might Go」(KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、2025年) などがある。

作家の言葉

取り憑かれたように北海道へ通い、 移住してまで何を撮りたかったのだろう。

いつの頃からか、そんな疑問が湧き上がってきました。 和人の歴史がインストールされることで「北海道」という場所が形成されたこと。アメリカ方式の技術によって農地が切り拓かれていったこと。 そうした歴史を紐解くうちに、この島が 「北海道」と名付けられる以前の姿を知りたいと思うようになりました。

大阪で生まれた私は、ヤマトの文化を軸とした教育を受け、この国を無意識にヤマト中心の視点で捉えていたことは否めません。しかし、北からの視点に転じると、世界の捉え方は一変しました。また、北海道の自然を追いかける中で、自然とは地球規模の循環で繋がっているものであると実感するようにもなったのです。

自身の関心ごとを追求する中で、このたび特別作家賞を受賞することとなり、まるで背中を押していただけたような気持ちです。個人の探求が社会へと繋がっていく、写真表現が持つ凄みを、改めて噛み締めています。

中西 敏貴

「オプタテシケ」より
旭岳、北海道 2022年
Asahidake, Hokkaido
from the series optateske, 2022
「オプタテシケ」より
十勝岳、北海道 2020年
Tokachidake, Hokkaido
from the series optateske, 2020
「Land of Fusion 地と記憶」より
網走モヨロ、北海道 2022年
Moyoro, Abashiri, Hokkaido
from the series Land of Fusion, 2022
「Land of Fusion 地と記憶」より
常呂 栄浦2、北海道 2023年
Sakaeura 2, Tokoro, Hokkaido
from the series Land of Fusion, 2023
「Where We Come From and Where We Might Go」より
壮瞥、北海道 2025年
Sobetsu, Hokkaido
from the series Where We Come From and Where We Might Go, 2025
「Where We Come From and Where We Might Go」より
黒鷲岬、北海道 2022年
Cape Kurowashi, Hokkaido
from the series Where We Come From and Where We Might Go, 2022