AWARDS東川賞
特別作家賞
受賞理由
全日本学生写真連盟が1968~77年の間に行った北海道における19回の集団撮影行動に対して
「北海道101集団撮影行動」の「101」とは、1969年を指す。「明治元年(1868年)から101年目の北海道をドキュメントする」として、当時の全日本学生写真連盟(略称・全日)が1968年に北海道学生写真連盟との連名で全国の大学写真サークルに参加を呼び掛け、翌69年から撮影を開始した。提起したのは写真評論家の福島辰夫である。
1960年代から70年代前半にかけて、日本のみならず世界各地で反戦運動や学園紛争が沸き起こった。その中で「写真で何ができるか?」を自らに問うた学生たちによる写真運動を全日が開始した。「北海道101集団撮影行動」はその一つである。1968年に開催された「写真100年 日本人による写真表現の歴史」展での、田本研造らによる北海道開拓初期写真群の優れたドキュメンタリー性に触発されたことが契機となり、北海道の現実に写真で、そして集団で向き合おうとした。
合宿形式をとり、77年夏までの9年間に全道各地で19回の撮影を行った。全国から延べ600人を超える学生が参集し、撮影された写真は膨大な数に上る。写真集出版を目指すも未完である。
作家の言葉
「北海道101集団撮影行動」の写真は、2013年に東京都写真美術館で開催された「日本写真の1968」展にて、同美術館専門調査員で写真史家の金子隆一氏(「北海道101」初動メンバーの一人、立正大)が一部を紹介して以来、公開されることはありませんでした。このたび出展する写真はそのときの展示枚数を遥かに超えますが、それでもまだ全てではありません。
また、今回の東川賞受賞を機に、かつてのメンバーの一人で、田本研造らが遺したオリジナルプリントを68年当時、函館市博物館などで丹念に複写していた故澤田彰さん(旭川市出身、酪農学園大)の貴重なフィルムを、ご家族のご好意により展示に加えることが出来たことは大きな喜びとなりました。
集団での撮影行動は1977年で中断しましたが、出版を目指す私たちにとっては今も「北海道101」は続いています。
北海道101集団撮影行動