AWARDS東川賞
特別作家賞
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受賞理由
受賞理由: 写真展「赤い帽子」(ニコンサロン銀座、大阪、2019年)に対して
1989年横浜市生まれ。2012年青山学院大学社会情報学部卒業。卒業後、スイスの写真家で当時日本に滞在していたアンドレアス・サイバートに写真を教わる。
2013年、日本の若い男性の服装と思想をテーマとしたプロジェクトを始める。2014年、古くから様々な作品のモチーフとされてきた多摩川を題材に、川沿いに暮らす人々の生活をとらえた作品「河床(かしょう)」で、コンシエンシャス・ポートフォリオ・コンペティション2014選出、および第9回リマインダーズ・フォトグラフィ・ストロングホールド・グラントを受賞。受賞後、レビュアーの一人であるフランスの新聞ル・モンドのフォトエディターからの依頼を受け、原爆投下70周年の広島を撮影、同紙に掲載される。
2017年から、北海道比布町に暮らす祖父母の元に通い、その日常を写した「Tomatoes, a bird, Takeko and Koichi」プロジェクトをはじめる。同年より、戦前の北海道で起こった「生活図画教育事件」を取材するため、音更町在住の松本五郎(1920年生まれ)、旭川市在住の菱谷良一(1921年生まれ)のところへ通いはじめる。生活図画教育は、1932-40年に北海道旭川を中心に行われた、身の回りの生活をよく観察し絵に描くことを通じて、その変革をめざす美術教育。旭川師範学校の美術部員だった松本と菱谷は、生活の一場面を真摯に描いた絵により、治安維持法違反の罪に問われ検挙された。
2019年、二人の日常を写した写真による展覧会「赤い帽子」(ニコンサロン、銀座、大阪)を開催。2020年6月、写真集『A RED HAT』(赤々舎)を出版予定。
作家の言葉
この賞を受賞出来たのは全て、一世紀近くを今も元気よく生きておられる菱谷さんと松本さんが、彼らの人生の中に私を受け入れてくださったからこそ叶ったことです。素性のわからない「フリーランスの写真家」という怪しい肩書きにもかかわらず、図々しくも食事から寝泊まりまでご一緒させていただくことをお許しくださったお2人には感謝してもしきれません。
『A Red Hat』の題材になっている生活図画事件は1941 年に旭川師範学校で起こりましたが、あの時代と同じなのではと錯覚するほど不寛容な現在の世相に対し、自分の態度はどうあるべきか、と常に自問自答を繰り返しています。
その中でこのような機会をいただけたことは、まだ私の写真が「思考の契機」になる可能性を持つのかもしれないと背中を押してもらった気持ちです。改めて、今まで自分と関わってくださった全ての方々に深く感謝申し上げます。どうぞこれからもよろしくお願い致します。

2017
作品はすべて「A Red Hat」シリーズより

2018
作品はすべて「A Red Hat」シリーズより

2018
作品はすべて「A Red Hat」シリーズより

作品はすべて「A Red Hat」シリーズより

2020
作品はすべて「A Red Hat」シリーズより

2020
作品はすべて「A Red Hat」シリーズより